凝集処理における撹拌効果の違い
~混ぜ方・位置・邪魔板の工夫で処理効率が変わる~
水処理は凝集剤の選定、工程も重要ですが、混ぜ方も重要なポイントです。
テストでは上手くいっていたけど実機テストでは上手くいかない…
そんなときに撹拌方法を見直すと解決することがあります。
撹拌位置で混ざり方が違う
同じ容器でも、撹拌翼をどこに置くかで流れのパターンは変わります。
- 中央に設置
水全体を均等に動かすことができ、凝集剤が全体に早く広がります。
ただし、流れが渦を巻きやすく、上下方向の混合が不十分になることがあります。 - 底付近に設置
凝集物が重い場合や沈みやすい場合に有効。
沈降物の巻き上げを防ぎつつ、容器全体を効率的に混ぜられます。 - 側面に寄せて設置
流れに偏りが出ますが、あえて強いせん断力を与えたいときに使われます。
高分子凝集剤を分散させたい場合などに有効です。
目的別の撹拌位置と強さ
撹拌の強さは、目的によって変える必要があります。
- 強く撹拌※強撹拌(薬品を素早く均一に分散させたい場合)
→ 強めに中央付近で撹拌し、全体へ一気に拡散させる。 - ゆっくりと撹拌※弱撹拌(フロックを大きく育てたい場合)
→ 底付近でゆっくりと撹拌し、フロックを壊さずに水流をつくる。 - 薬品の溶解や分散が目的の場合
→ 局所的にせん断をかけるため、側面や偏心配置が有効。
邪魔板(バッフル板)の設置も効果的
円筒形タンクでは、撹拌すると強い渦(旋回流)が発生します。
この渦が大きすぎると、薬品が一方向に流れるだけで混ざらなかったり、フロックが壊れる原因になります。
そこで設置されるのが邪魔板(バッフル板)です。
- 渦流を抑制し、上下方向の対流を生む
- 水平方向のムラを減らし、凝集剤が均一に混ざる
- 適度な乱流が発生し、凝集効率が上がる
実際の処理設備では、タンク内の壁面に2~4枚程度の邪魔板を入れるのが一般的です。
まとめ
凝集処理の撹拌は「強く混ぜる」「よく混ぜる」だけでは不十分です。
- 撹拌位置
- 撹拌強度
- 邪魔板の有無
これらを工夫することで、フロックの形成や沈降性が大きく改善されます。
さらに、撹拌の流れそのものを理解することも大切です。
層流のように「ただ回っているだけ」では効率が悪く、乱流を作り出すことがポイントとなります。
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